6才の僕が大人になるまで

瑞々しい少年から青年になるまでを12年追いかけて撮影する考えが面白い。
主人公だけではなく出演者全員が年をとっていくから他人の家族を覗いている感覚になる。
そして自分の過去を思い出して、うわー!ってなったりする。

どんどん主人公が成長する事に色気を増していく。
シャイな姉も可愛い。成長するにつれあの小さくてこまっしゃくれた子がこんなに大きくなって…。フィクションなのに感動する。

父親がカッコ良すぎる。始めは少し駄目な人間に見えるのに段々と存在感を増していく。
始めはしっくりこない相手が時間をおくと馴染んでくるっていう事はあるけれど、それに気付いた頃には時間を巻き戻す事は出来ない。それが妙にリアルだったりする。
リベラル思想の持ち主なのに再婚相手がバリバリアメリカ南部のキリスト教徒なのも面白い。
かと言って狂信的な訳でもなく彼の子供達を優しく迎える。
母親は3人も配偶者を変えたのに幸福感を感じられない。
結婚して子供を生んで育て離婚して働いて離婚して子供を独立させて自分の人生は何かと問い直すところで映画からは退場するがその後新しい何かを見つけるのだろう。

この家族を覗いていると自分もこの家族の一員のような気持ちになってくる。
失恋した主人公に女は1人じゃないよ、って自分の事を棚に上げて声掛けたくなるし、高校を卒業したホームパーティーでは一緒に乾杯したくなる。上映時間が長いけれどこういう気持ちになれる映画はあまりない。

小さな絶望と希望が混ざっている。
主人公が落ち込んだ時に助けてくれるのはちょっとした言葉だったりする。
人間万事塞翁が馬、を地で行く物語だがその悩み、救いがキラキラ輝いている。
自分の人生だけを見つめていると気付かない輝きを気付かされる。