うっかりハードルを下げるのを忘れていました。
ファーストジェネレーション、フューチャー&パストと良作だったけれど
アポカリプスを登場させるという規定路線にキャラクター達をはめ込むのが難しかった印象です。
神との対決以前に差別と偏見との戦いの方がリアルで根深い問題で
これを描いた前二作が最高過ぎました。
役者陣がミュータントのコスプレをしても気にならない物語の説得力が有った。
ファーストジェネレーションではそれが最前面に出ていましたが、
フューチャー&パストでは未来と過去を行き来するというやや厳しい設定ながらも
ラストのマグニートの演説でカバー出来ていました。
しかし、今回は差別と偏見が物語のキッカケ程度の扱いで推進力になるには力が少し足りなかった感があります。
どうしても取って付けた感が拭えない。
これをギリギリ救っているのはマグニート演じるマイケル・ファスペンダーの演技力で、強大な能力を隠しながら「普通の生活」を求めて社会に溶け込む努力とそこで疲弊していく姿を佇まいだけで語ってきます。
深い哀しみを背負った佇まいはそれだけで涙腺を刺激してくる。
反対にイマイチ実在感の無いのが肝心のアポカリプス。
千年生きてるのに、言葉に説得力がない。
カリスマ性を出そうとする努力は認めるが、神の名の元にテロや他国への
侵攻、神を担ぐ事で自己の利益を最大化しようとする人間が目立つ現代の社会で、自らを神と名乗ることの「軽さ」を感じざるを得ないんです。
その「神」の存在が軽いが故に彼を守る四人の従者の存在も軽くなる。
よって物語の説得力で目を瞑っていた、コスプレもどこのコミコン?
て気持ちになっちゃう。
俺のマグニートをそんな奴等の一員にしないでくれー!
そしてエンジェル、ファイナルデシジョンでミュータントと人間を繋ぐ
象徴的な役割をして感動的なキャラクターなのに本作では雑魚役…。
翼を鉄に替えた姿、俺、悲しいよ。
俺のエンジェルを…(略)
前二作の中の一番の推しmenであるミスティーク…なんか太った?
最前線で差別と闘うミュータントテロリストとして
もうちょっとシュッとならなかったのか。
マイケル・ファスペンダーの役作りに比べると役作りが物足りない気がしてしまう。
ファッションも、それが闘う戦士の衣装なのか。
閉じ込められた檻の外で爆発や流血が有っても冷然と構えるというクールな演技をすべきではないのか。等と思ってしまう。
ストームがそんなミスティークを尊敬し、英雄としているのは良いがその思いの強さをもっと描いて欲しい、でないと最後の感動的な行動も軽くなってしまうよ…。
文句ばかりだけど良いところもありました。
クイックシルバーが活躍するシーンは音楽も最高だし、
スタッフが楽しんでいるのも伝わってくる。
若いミュータント達がスターウォーズを観て
「三作目は駄作だ」
と言わせるのも洒落ている。監督、分かってるんだね…。
そしてナイトクローラーが可愛い。
若い頃は男全員嫌いだったけどオッサンになると心余裕がでるのか。
撫で肩で弱々しい感じなのに漂う色気は何なのか。
ミスティークに対する女々しい毎度のハンクの片想いもニヤニヤしてしまう。
好きな女を諦めきれなくてウジウジしやがってお前は俺か。
ウルヴァリン続編の伏線を張るためだけにを出す必要あったのか、
エグセビアの髪を脱毛しなくても良かったんじゃないか、
等ありますが疲れてきたのでとりあえずこの辺で。