「これは生命に対する冒涜ですよ。」
怒りを身体中から発しながら宮崎監督は言う。
画面に映し出された蠢く人。
人工知能が作った人間だ。
人工知能だからその人間の様なモノは頭を頭として動かそうとせず、
痛覚のないその体を前に進ませる。
結果、想像出来ない様な動き方をする。
体を這いずらせて頭を手のように使って前に進む。
これをゾンビ映画に使ったら気持ち悪くて面白い、
と嬉しそうに紹介するドワンゴの川上さんに宮崎さんは怒った。
川上さんは宮崎さんに新しい技術を紹介したかっただけだ。
でも宮崎さんは毎朝ハイタッチする身体障害者の友人に
その映像を重ね、怒る。
コミュニケーションが微妙に噛み合っていないけど、
僕はそこで怒る宮崎さんが好きだ。
"美しい物"を描きたい。
その"美しい物"が表面的な物ではなくて
純度の高い物に思えて。
色んなスタッフの才能を食い潰して描く
その美しい物をもっと観たいと思う。
「気付かないだけで世界は美しいって言うこと伝えたいんだよね。」
テロは無くならないし、排外主義が高まる世の中で
こんな風に言える人はなかなか居ない。