ウルトラマンブレーザー

初回の本格的な怪獣映画と洋画の軍隊モノ映画の面白さに引っ張られて最終回まで見た。

 

途中で予算の低さが透けて見えたり勢い任せで整合性の取れない部分、説明不足な点もあったが面白かった。

 

プレデターの様な蛮族タイプのウルトラマンは新鮮だったし、ゲント隊長の様な家族持ちで中間管理職の主人公も新鮮だった。

しかし初回で見せた「出来る上司」としての主人公は段々と「頑張る中間管理職」「頑張るお父さん」となっていく。

個人的にもこの部分はもう少し「出来る上司」かつ「ウルトラマンに変身出来るが故の孤独」も見たかったけどそれはセブンで描かれていてマーケティング的に最大公約数に受け入れられる為には仕方無いのかもしれない。

上層部の無理解、無茶振りに対する不満がしょっちゅうエピソード無いで語られたものの最終回ではそれをひっくり返す事で、ヤンキー更生ドラマの様に見る目が変わるというのは面白かった。これを計算してのクドい程の上層部ディスだったのだろう。

もう少し上層部個人個人のキャラクターを深堀りするエピソードがあっても良かったと思うが予算や時間、視聴者層の問題があるので難しいのだろう。

 

ストーリーも始めは災害としての怪獣が地球を守る為の行動であったことが後に判明させることで黒が白に変わる様な価値観の転換があったのは面白かった。

 

映像的には引きの画 が多くて怪獣映画のような画が撮れていてそこは嬉しい。

画面の手前に人物がいてそれを追いかけるゲバルガや、背景で争うレッドキングの画はあまり違和感が無いし、ニジカガチとブレーザーが向かい合う際の引きの画が、ダイナミックさを生んでいる。

 

最終回でブレーザーがゲント隊長に話しかけるシーンも良かったし、ブレーザー光線を使うシークエンスも全編見ていればこそ光るものだった。

ただゲント隊長の体調不良に対する描き方は消化不良だったし割と唐突だったのでもう少し伏線を入れて欲しかったし、V99との対話や各国との調整シーンに関してもあまりにも雑だったと思う。

V99が去った後にヴァラロンをやっつける、というのは何の為にV99と対話したのかよく分からない。

 

ウルトラマンは子供の為に大きな責任を負っている。ならば戦い以上に対話する姿勢は必要だと思う。

戦わなければオモチャが売れない、のならばバンダイを始めとするオモチャ会社と武器商人は何が違うのか分からない。

対話しても分かり会えない現代だからこそ対話についてもう少し大切して欲しいと思った。

 

ウクライナとロシア、イスラエルパレスチナの戦争があまりにも酷い為にそんな事も考えてしまった。