安楽死を推す理由
僕は安楽死賛成派です。
理由は母がガンで苦しんでいるのを見ていたから。
母は父と共働きで家に仕事を持ち込み、夜遅くまで仕事をしている人でした。
基本的に自分を中心に世界が回っていると思っている人でしたが、明るく、強気そして聞き上手でした。
母にとって理想の女性は風の谷のナウシカです。
ジョジョの奇妙な冒険、サザンオールスターズが好きでした。
片耳が事故で聞こえませんでしたが補聴器はつけませんでした。
仕事に支障は有ったでしょうが、女性の意地だったのでしょう。
お洒落にも気を使う女性でした。
母がガンになった時には抗ガン剤も使いませんでした。
髪が抜けるのを家族に見せたくなかったからです。
私は細く長く生きるより、太く短く生きるよ。
体中にチューブを繋げて生きるなんてゴメンだよ。
そう僕が小学生の時から言っていました。
ガンが進行して日に日に弱っていく母に聞いたことがあります。
安楽死ができたら、する?
安楽死ができたら・・・とっくに使ってるよ。
強気だった母がそう答えた事は悲しかった。
母は死に場所を自宅に選びましたが、家族に迷惑をかけるのは嫌がりました。
本を読んで勉強した母は、ガンの末期になると意識が混濁するらしい。だから何かあったらすぐに病院に入れなさい。
と言っていました。
実際に意識の混濁はありましたが、それでも僕にとって母は母でした。
そして母は自宅で息を引き取りました。
末期ガンの母は我慢はしていましたが辛かったはずです。
自力で立つ事も出来なくなりました。
胃を手術した傷跡を父にも僕にも見せたがりませんでした。
プライドの高い母がトイレで気を失っている姿を息子に見られたくなかったはずです。
母は自分が可能な限り良い状態で、家族と別れたかったはずです。
息子として母の意思を尊重したい。母として女性としての尊厳を守りたい。
安楽死の機械があったらそのスイッチは誰が押すのか。
母ちゃん。母ちゃんが楽になれるなら俺がそのスイッチを押すよ。