バケモノの子
熊徹の声は非常に憎めない存在感で素晴らしい。
九太の子供時代の声が宮崎あおいというのも驚いたがちゃんと会っていた。
しかし、イチイチ説明的で、しかも登場人物がセリフ上で説明的になったりするのだから良い所で
途端にテンポが悪くなってしまう。
また、格闘シーン、他国を歩き多様な価値観を学ぶシーン、クジラのシーンなど燃える要素があるにも関わらず、
全く熱くなれないのは非常にもったいなく感じた。
オマツリ男爵ではムチゴロウのロザリオちゃんに感動し、
サマーウォーズの”コイコイ”では映画館で一人、涙と鼻水を流したというのに。
ロザリオちゃん
九太が迷い込んだバケモノの世界の町並みはどこか”千と千尋の神隠し”の面影を感じ、
かつそれを超えられていないのも残念。
一郎彦の不憫さも消化不足。
猪王全と一郎彦、その関係性と物語に対する描き方が浅く、もう少しキャラ立ちされていれば、熊徹と九太の関係性がより鮮やかになると思う。
オマツリ男爵では仲間を失いたくないために鬼になる敵役に感情移入出来たのだが。
熊徹のキャラクターは非常に立っていたのに、その周りのキャラクターがイマイチ作りこまれていないのは熊徹に時間を取られてしまったのだろうか。
強くなるとはどういうことか、父が息子に出来る事は何か。
この二つのテーマを両立させようとするのはとても難しい。
この二つは男の永遠のテーマであり、男女の役割が多様化する社会の中で描くことに監督の迷いもあったんじゃなかろうか。
オマツリ男爵をぶっ飛ばしたルフィのような熱さをイマイチ感じられなかった。