ベストキッド

久しぶりにベストキッドを見たが想像以上に良い映画だったので感動した。

ダニエルがイジメを受けてカラテをミヤギから学ぶ、というストーリーは覚えていたが、ミヤギが442連隊の元兵士で、兵役中に子を身籠った妻を合併症で妻子共に亡くす経験をしていたのは記憶には無かった。

 

ミヤギがどんな想いでダニエルにカラテを教えていたのか、どんな気持ちであの夜酒を呑んで歌っていたのか考えさせらるシーンこそベストキッドの白眉だと思う。

 

その後にダニエルが海で稽古をするシーンが美しいのは海に光る太陽だけではなくてダニエルがミヤギから受け取った物がカラテの技術の中に愛があったからだろう。

 

また、ダニエルがミヤギがどんな気持ちで自分にカラテを教えているのか、ミヤギの気持ちを慮り、受け止めようとするからこそ、彼が本作の主人公足り得る。

 

音楽も良いタイミングで流れるし今見てもテンポが古くない。

 

空手や格闘技は弱者の為、自分自身のバランスを整える為の物なのだとは自分自身空手や格闘技を学んで来て実感してきた。

弱い自分を少しでも強くする為に、少しでも自信を持てるように。

 

昨今の格闘技はエンタメ職業としての格闘技とである事が主流となっていて自分のバランスを整える為の物である事は後回しにされていると思う。

また、そう考える人も教える人もいない。

80年代の映画であるベストキッドは古き良き武道の在り方について考えるキッカケをくれた。

ウルトラマンブレーザー

初回の本格的な怪獣映画と洋画の軍隊モノ映画の面白さに引っ張られて最終回まで見た。

 

途中で予算の低さが透けて見えたり勢い任せで整合性の取れない部分、説明不足な点もあったが面白かった。

 

プレデターの様な蛮族タイプのウルトラマンは新鮮だったし、ゲント隊長の様な家族持ちで中間管理職の主人公も新鮮だった。

しかし初回で見せた「出来る上司」としての主人公は段々と「頑張る中間管理職」「頑張るお父さん」となっていく。

個人的にもこの部分はもう少し「出来る上司」かつ「ウルトラマンに変身出来るが故の孤独」も見たかったけどそれはセブンで描かれていてマーケティング的に最大公約数に受け入れられる為には仕方無いのかもしれない。

上層部の無理解、無茶振りに対する不満がしょっちゅうエピソード無いで語られたものの最終回ではそれをひっくり返す事で、ヤンキー更生ドラマの様に見る目が変わるというのは面白かった。これを計算してのクドい程の上層部ディスだったのだろう。

もう少し上層部個人個人のキャラクターを深堀りするエピソードがあっても良かったと思うが予算や時間、視聴者層の問題があるので難しいのだろう。

 

ストーリーも始めは災害としての怪獣が地球を守る為の行動であったことが後に判明させることで黒が白に変わる様な価値観の転換があったのは面白かった。

 

映像的には引きの画 が多くて怪獣映画のような画が撮れていてそこは嬉しい。

画面の手前に人物がいてそれを追いかけるゲバルガや、背景で争うレッドキングの画はあまり違和感が無いし、ニジカガチとブレーザーが向かい合う際の引きの画が、ダイナミックさを生んでいる。

 

最終回でブレーザーがゲント隊長に話しかけるシーンも良かったし、ブレーザー光線を使うシークエンスも全編見ていればこそ光るものだった。

ただゲント隊長の体調不良に対する描き方は消化不良だったし割と唐突だったのでもう少し伏線を入れて欲しかったし、V99との対話や各国との調整シーンに関してもあまりにも雑だったと思う。

V99が去った後にヴァラロンをやっつける、というのは何の為にV99と対話したのかよく分からない。

 

ウルトラマンは子供の為に大きな責任を負っている。ならば戦い以上に対話する姿勢は必要だと思う。

戦わなければオモチャが売れない、のならばバンダイを始めとするオモチャ会社と武器商人は何が違うのか分からない。

対話しても分かり会えない現代だからこそ対話についてもう少し大切して欲しいと思った。

 

ウクライナとロシア、イスラエルパレスチナの戦争があまりにも酷い為にそんな事も考えてしまった。

ゴジラ−1

時代設定が面白かった。

ただ、あの後オキシジェンデストロイヤー使うという事も分かっているのでどうやって終わらせるのかな、と思いながら見ていた。

 

結果的には神木隆之介にフォーカスしたのが良かった。

 

でも戦争は終わらないんだよね。

あの後浜辺美波はガンか何かで死ぬだろうし

その原因はゴジラだし、更にその遠因はアメリカでもある。

 

初代ゴジラもそうだけどあんまりアメリカに焦土にされ、原爆を落とされ自国の軍部に振り回された事に対する怒りとか恨みは脱臭されているなとは思った。

 

映画をアメリカで売るためには仕方ないよね、とは思うけどそれで良いのか、とも思う。

 

シン・ゴジラでも思ったけどアメリカとか政治家とかに責任押し付け過ぎなのが気になる。

もう少し権力や強者の暴力に怒ったりしないのかな。

ジェシカ・ジョーンズSeason1

この様な重めなドラマは苦手なのに最後まで観てしまった。

 

このドラマの魅力はなんだろうと考えた。

・能力の有無に関わらず支配、被支配の関係がテーマの根底に流れている。

→普遍的な人間の感情だと思う。人は誰でも自分の奴隷が欲しい。

会社でも、親子関係でも、恋愛関係でも薄っすらと隠れているそんな暗い感情を表に引き摺り出して来て、目の前にドンと置かれた時の後ろめたさと清々しさを感じる。

 

・脇役の設定、感情表現の描き方が深い。

→ヤク中、嫌われ物の住人の悲しみをきちんと描いている。

視聴者はスーパーヒーローでもなく、善行ばかりを施す聖人君子でもなくドラッグに溺れたり、ハリネズミの様に人を傷つける事で自分を守っている人もいる。

そんな人達こそが現実では多数派だからこそ、その感情を繊細に描く事が大きな意味を持つのだと思う。

 

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・とにかく色気の無いジェシカ・ジョーンズ。

→短気でアル中気味で、目付きも愛想も悪いのに正義感が強く人を守ろうとする女性主人公が新鮮。

この面倒くさい陰キャに対する謎の親近感よ。

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ジェシカ・ジョーンズと親友トラッシュのソウルメイト感。

→二人とも共に被支配の経験があり、同世代だからこその友情が尊い

 

・キルブレイクのキモさ。

→とは言えこの能力を自分が持ったときに、能力を使えば全て自分の思った通りに出来るのなら皆正義の為にその能力を使えるか?

少なくとも自分はそうしないけど、そんな自分自身のキモさも可視化されてキツい。けど自分の一部だからこそついつい見てしまう。

 

・オープニングが格好いい。

 

しかし延々とキルブレイクとジェシカ・ジョーンズの追いかけっこでこのドラマを見せるのは、細かい部分の作り込みがしっかりしているからだよな、と思う。

 

あと酒が呑みたくなる。

 

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スパイダーマン No Way Home

サム・ライミ版のスパイダーマンをリアルタイムで見た世代としては、予告でドクターオクトパスが「Hello,Peter」と登場したシーンでテンションが爆上がりした。

 

初めてトム・ホランドスパイダーマンを見た時にはこんなのは俺のピーター・パーカーじゃない!可愛すぎる!トビー・マグワイア位絶妙にキモい陰キャじゃなきゃノレない!

 

とブチ切れていたがファー・フロム・ホームで悪いおじさんに騙されて、ボロボロになっても頑張っているトムホを見て、「健気やん…」と完全に許してしまった。

 

ちょっとコミュ障気味で斜に構えたゼンデイヤのMJも好きで今では二人の幸せを祈らざるを得ない。

 

そんなスパイダーマンの最新作は始まりこそ明るいけどその先は苦い結末だった。

NoWayHomeはそういう意味かと。

 

予告で見ていたオクタビアスの登場シーンはやっぱりテンションが上がった。

「大きくなったな。」のシークエンスは初めてスパイダーマンを見たあの頃を思い出して泣いた。大きくなってしまいました。色々ありましたよ。

弱々しいウィリアム・デフォーが「息子は…」というシーンも悲しく心揺さぶられた。今の年齢の彼だからこそ演じられるよね。

アンドリューガーフィールドがMJを救ったシーンも泣いた。こういう自分で自分を救うシーンマジで好きです。

 

でもさ、これで終わりなのかい?

版権の問題でMCUでは見られないのかい?

MJ、ネッドと仲良し3人組はもう見られないのかい?

という寂しさは想像以上に大きい。

 

エンドロールの後に"スパイダーマンは帰って来る"というメッセージを待ったがそれは無かった。トムホのスパイダーマンはもう見られないのだろうか。

 

 

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勝者、シバター

シバターは凄かった。

暗黙のルールを逆手にとり、Rizin運営を、対戦相手を、視聴者を騙し切った。

 

大一番の舞台に立ちたいのに立てるかどうか分からない精神状態の対戦相手、視聴率を取りたいRizin運営の弱みを見切った心理戦。

経験値も体格も有利である事を隠す弱腰な演技とプロモーション。

 

自分が視聴率を持っていることを把握したうえで”棄権”というカードをチラつかせ相手を揺さぶり、結果勝つ。

しかも大晦日の大舞台で。

 

格闘家からもRizin運営からも視聴者からも嫌われ、尊敬も信用もされることもないが”名前を売る”という目的は完全に達成されている。

試合に勝っても負けても損しない戦い方。

 

こんな事を出来る人間はそうそういない。

 

朝倉未来のリベンジマッチも

扇久保のベルト獲得も

女子格の王者陥落も

2022年の大晦日に記憶しているのは、格闘技が好きな人間だけだろう。

 

しかしシバターが汚いことをして勝った、というニュースは一般視聴者には記憶されていると思う。

 

試合での勝利こそ格闘家の成り上がる道で、選手は必死にリングの上で戦っている。

晦日はそのトップ選手が技の粋を見せる場であり最高の舞台だ。

格闘技の実力ではシバターより強い格闘家は沢山いる。

 

相手選手も、Rizin運営も、視聴者もシバターをナメていた。

所詮ユーチューバーだと。ピエロだと。

 

だけど明確になったのは客寄せパンダだと思っていた人間は冷徹な戦略家でやり手の個人事業主だった。

シバターにとっては”名前を売る”ことが勝利条件で、そして勝った。

一般的に強者と思われている格闘家に、客寄せパンダのユーチューバーが勝った。

これこそ最高のアップセットだと思う。

 

 

 

ドラマ:デアデビル

アメコミは鬱に効く。

かどうかは知らないが、毎年クリスマス頃から冬季鬱というのか気分が落ち込み何もやる気が起きなくなる。

ここから三賀日が終わるまではやたらと疲れるので、スーパー銭湯に行きたいのだけどなかなかタイミングが見つからない。

 

先日ドラマ:ホークアイを見たがTwitterで感想を眺めていたら、キングピンはドラマ:デアデビルの出演キャラクターという事でドラマの評価も高いし何もやる気が起きないので見てみたところ面白い。

 

特に1話、2話の演出には痺れた。

 

主人公のマシュー・マードックは盲目の弁護士で、夜は座頭市の如く悪人と戦うキャラクターだ。

 

2話のラストではその彼が少年時代に目が見えなくなり父親との別れ、そして現在に至るまで経緯と、悪人に誘拐された男の子をマードックが救いだすシーンを交互に描かれる。

 

そして最後には男の子を救う事で自分自身が幼いマードック自身を救っている、という演出はマーベルシリーズでも屈指の場面だと思う。

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