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火花

テレビで目にする日は無い芸人たちの
目にする事の無い日常と思考が描かれていて面白い。

メールを送る時のちょっとした言葉選び。
会話中に滑り込ませるボケとツッコミ。

貧しいのに洒落ている。こういう文化を”粋”というのではないか。

主人公、徳永の斜に構えたような世間の見方、自分自身の不器用さや、不甲斐ない思
いは誰もが社会に出たら経験する。

非凡な才能を持つ先輩の神谷の浮世離れした笑いに対する姿勢。
自分より数段上を行っているように見える先輩。

そんな先輩が抱えている弱さとそれを見てしまった時の居たたまれない感覚。
ある程度社会に出た人は心当たりがあるんじゃなかろうか。

又吉がこんなに自分の思いを言葉に出来る人だとは思っていなかった。
どこか、”教室にいる面白い奴”の延長線上にいるような親近感を勝手に感じてい
たが、

刃物の様に鋭い感性で周りを観察し、それを言葉で表現する人だったとは。
親しい友人に実は彼女が5人いて、その彼女は皆モデル級の美女である、

という様な感覚だ。


自分が感じている事を言葉にするのは難しい。
普段使わない言葉なのに、その言葉を使うと、すとんと腑に落ちる。

感じた事を表現する能力を感性、とどこかで聞いた気がする。


文学の賞というのは僕にとっては遠いものなのでニュースになった時は
気にも留めなかったが、小説を読んでい見ると目の前に美人の彼女を連れて来られた
ような、驚き、尊敬、羨望を感じた。