トラ・トラ・トラ!(後編)

いざ見始めると、長かった…。

ヒトラー最期の12日間に続き、この映画も
途中休憩を挟むんだね…。

感想としてはアメリカ側でもなく、日本側でもない
意外と公平な目で作られてるなー、と感じました。

アメリカ側パートは割りと淡々と、
日本側パートは作られた時代もあるのか
割りと日本人が元気(というか無邪気)です。

その中でも日本軍上層部はキリッとしているんですが
宣戦布告をする前に攻撃を仕掛けてしまったり
暗号を全部解読されていたり
アメリカ軍もその解読した暗号を上手く活かせなかったり
肝心な処で零戦の部隊を見逃してしまったりと

大きな舞台で小さなミスが大きく成長してしまうのを
目の当たりに出来ます。

戦争って思った通りに運ばないよな

という当たり前の事実を改めて認識出来る興味深い
作品でした。

そして零戦に爆破される米軍機はこの時代だから
出来たんだろーな。
というCG無しのガチ飛行機。
迫力有ります。

トラ・トラ・トラ!(前編)

以前ハワイに行ったときに戦艦ミズーリ号を見学しました。

そこに行く前はかつての敵国が日本人をどうやって
受け入れるんだろうか、妙な差別はされないだろうか。
と複雑な気持ちでした。
ミズーリ号はアメリカ人にとって靖国神社のような存在
と言われてなんとなく納得もしつつ。
ミズーリ号に乗ってガイドの日系人の方が
「あの山の向こうから零戦が○○機、向こうの方角から○○機来て…」
という話を聞いていると
真珠湾攻撃がどのくらい大規模な作戦だったのか実感出来ます。

ミズーリ号の内部は日本人向けに大戦で散って行った
若者達が恋人や母親、家族に送った手紙や写真が
展示されており、死を眼前にした人達の想いに
涙が抑えられません。

同時にアメリカはスゲーな…と思いました。
かつての敵国に対して
「私達はこんなに日本人に気を使っているよ」
というメッセージを出す事で日本人は感謝し、
その復讐心を消失させる。
イメージ戦略としては大成功でしょう。

その見学の途中でアメリカの戦闘機の展示場の
土産物売り場でこの「トラ・トラ・トラ!」が
放映されていました。

池上総選挙

面白かった。

 
池上さんには長生きして欲しい。
印象が良かったのは谷垣さん。小泉進次郎さん。
池上さんに正面から答えようとしている点が好印象。
立場上逃げられないけど。
 
逆に神奈川県の神武天皇の人は大丈夫なのか。
 
最近気になる日本会議は年寄りだらけ。
ポスターも懐古主義的でビビる。
日本という国はホントに老いているんだな。
 
改憲vs護憲というテーマに絞っての番組だったけど
それぞれのメリット、デメリットについても解説して欲しいところ。
 
個人的には日本の対外政策としては
韓国のロビー活動や、中国の尖閣諸島に対する主張に負けないような
説得力のある発信力=世界に対するコミュ力の強化が必要だと思っている。
 
その為に9条はイジらなくても良いかなとも思うが
同時に江戸末期の日米間の力の差を認識していたのは
幕府であり、アメリカの戦力の前にとりあえず
頭を下げたのは現実的であった事を考えると結局
情報の集まる処は政府であり、その情報量から導き出される答えは
国民の出す答えより方向的には正しいのかな、とも思う。

ヒトラー最期の12日間

帰って来たヒトラーを観て

改めて自分がヒトラーの事をよく知らない事に
気付き、改めて本作を観ました。
 
二部構成になっているため、
途中でDVDが壊れてるんじゃないかと思ったけど
ただ前半が終っただけでそうじゃなかった。
 
今までこういう重い映画は避けて来ましたが
30を越えると社会的な作品がより身近に感じます。
 
観てる途中、ヒトラーも周囲の人達も
戦争が負ける事に気付いていながら何故終わらせることが出来なかったんだろう、
と思ったけどヒトラーを始め、軍部も国民も
アーリア人の復興という大きな物語に取り憑かれていたんですね。
その原因は第一次世界対戦に負けた事、更にそこに至るまでの歴史があって…。
 
最後までヒトラーに忠誠を誓う兵士は敗戦を知ると自決。
ゲーリング夫婦は自分達の幼く無邪気な子供たちを毒殺して自決。
 
誇り高さなのか、軍事裁判で負ける事が分かっているからなのか…。
 
敗戦のドサクサに紛れて気に入らない人間に
非国民のレッテルを貼って殺し合う国民。
 
無邪気に敗戦国の物を弄ぶ戦勝国の兵士達。
 
これは敗戦直後の日本の物語でもあるのですね。
限界の中で生きる人達のドラマ、長い作品ですが観て良かった。
 

【映画】帰って来たヒトラー 最初はみんな笑ってた

 

でも、当時は、そうじゃなかったんだ。 ワイドショーも、週刊誌も、みんなの日常会話も「オウムという変な連中」のことを、面白おかしくネタにして、バカにしていたのです。 本当は、そこで誰かが「笑ってる場合じゃないよ」って言うべきだったんだ。 言っていた人がいても、僕の耳に届かなかっただけなのかもしれないけれど。 大人は、子供たちに「自分たちは、最初は『オウムで遊んでいるつもり』だったのだ」と告白すべきではないのか。

『レッド』から、『約束された場所で』 - いつか電池がきれるまで

 

 
"帰って来たヒトラー"に描かれるヒトラー
 
①実際のヒトラー個人
②人々の無意識の中にに存在する差別主義、ファシズムに対する欲求の象徴
 
と2つの要素で構成され
小説では①が映画では②の要素が大きく
描かれています。
 
映画ではYouTubeTwitter
シリア難民、移民の問題点が映像として写されるので
分かりやすいし、説得力があります。
やはり映像の力は大きい。
そして上手く整理した製作陣は素晴らしい。
 
初めてヒトラーがTV番組に出た時に行う演説も分かりやすかった。
「TVは文明の利器なのに写されるのは料理番組や低俗な番組ばかり!若者や老人の失業に光りを当てる事なくそんな状態で良いのか!」
という批判は何処の国でも共通している様です。
 
ただ、小説の方がタイムスリップしてきたヒトラーの心理が描かれているし、
クレマイヤー嬢との分かり合っているようでそうでないコミュニケーションや、ヒトラーの対人評価は面白い。
 
小説を読んでから見ると中盤までの作りは面白いけどちょっと軽いなー、
と思いながら観てましたが、後半の作りは上手かった。
 
 
小説が書かれたのは2014年それからの2年間は欧州にとって苦難続きでそれを映像に乗せられるのは大きかったし、遊び心を感じられる作りです。
 
タイムスリップ物のコメディ要素。
ヒトラー的なる物は常に自分達の中に居るというメッセージ。
民主主義が独裁者を選んだという矛盾。
そしてそれに荷担する視聴率主義のメディア。
 
若者がヒーローに目覚める映画は多いですが
ヒトラーが独裁者になって行く過程を観ることが出来る映画は珍しい。
 
誰もが知っている"悪の親玉"キャラのヒトラーというアイコンが
上手く使われています。
 
小説、映画共に面白かったです。

【小説】帰って来たヒトラー

面白かったです。
 
現代に甦ったヒトラーが主人公で、
彼の独白で構成されている小説なのですが
ヨーロッパの体制、ドイツの首相、世相に対する
皮肉が言いたい放題です。
 
ドイツという普段遠い国の事なので
それこそ対岸のヒトラーという感じで眺められ楽しい。
例えるなら愛国主義マツコ・デラックスの内面を眺めているような気分です。
 
映画でよく描かれている"悪の親玉ヒトラー"より人間らしく描かれ、
現代社会と生真面目なヒトラー自身のズレを面白がっている内に、
このユダヤ人の大虐殺を指示し積極的戦争主義の独裁者が
何となく憎めないオヤジに見えてきます。
 
そしてヒトラーは演説の妙手。
この憎めないオヤジは"しゃべりの巧さ"でお笑い芸人と勘違いされたまま、
芸人として頭角を現します(本人は大真面目)。
 
ヒトラーも相手も話している内容が噛み合わないまま(でも一見噛み合って見える)話が進んでいくのを見て
コミュニケーションとはなんぞや、
という気持ちになります。
 
欧州やドイツの現状は知りませんが、日本とそっくりです。
スタバがあってドラッグストアのチェーン店が溢れていて、
誰が責任を負うのか分からずメディアが人権侵害を合法的に行い
個人を社会的に抹殺しようとする社会で「私が責任をとる!」
と言い切れるリーダーに僕達はどうしても惹かれてしまうのでしょう。
 
この小説の面白い処は時代錯誤のヒトラーを面白がっていると、
段々ヒトラーを憎めなくなってきて、その内ヒトラーを好きになり、
ヒトラーの主張が正しく思えてきてしまう処です。
 
彼は現代に来ても強烈な差別主義であるにも関わらず。
 
時代錯誤のオヤジをオモチャにしているつもりだったのに彼自身は独裁に邁進している怖さ。
この小説はヒトラーが現代のドイツで"独裁者"になる前日潭とも言えます。
 
この視点の転換に気付くまで僕は少し時間が掛かりました。
 
民主主義は無責任主義でもあるのですね。
誰も責任を取りたがらないし、僕だってそう。
何となく自分に都合の良い空気なら誰かが損しても乗っかりたい。
 
そんな社会はポイズンだけど人間てそんなもんだ、
とも思ってしまう。
 
小説は面白かったけれどマライ・メントラインさんの解説も素晴らしい。
的確で読みやすい文章。
どんな人なのか検索したら若い女性でホレました。
彼女の解説は必読です。

ケモナーへの道【ズートピア】

アイアムアヒーローを観てる時は何で俺はズートピアを選ばなかったんだろう。
と考えていたけど、いざ観てみたら案外物足りなく感じてしまいました。

ズートピアの造形は面白いしニックやジュディの独白は泣けたけど。
カタルシスに関してはアイアムア~の方が上でした。

だってニックってイケメンじゃないですか。
ジュディもなんかエロ可愛いし。
結局お前ら優秀じゃん。って僻みたくなる。

ジュディ可愛い-な-。
ってずっと思ってましたね。
僕の中でケモナーの血が目覚めかけました。

そして主題歌がシンドイ。

「何度も何度もやるのよ。失敗しても良いから。」

って歌詞で、夢を諦めないで。
という意味で使われているのだけど、和民とかで流れてたらどうしようって思いますね。
「失敗しても良いから」って言ってくれる人なんて現実の社会にはなかなかいないし。

もちろん自分のやりたい事を諦めるなって事で会社生活の事ではないけれど。
多様な社会の方が画一的な社会よりも良いけど適材適所と差別の線引きも難しいな、
と思いました。ナマケモノの受け付けとかクレームの嵐になりそう。

前から楽しみにしてた分色んな情報が入って来てしまったのでもっとフラットな状態で観たかったです。

楽しい映画だけど、隙が無さすぎて逆に面白くない映画でした。